ロードレース36年目のチャレンジ 『赤間 清』

国内ロードレースの頂点である『全日本ロードレース選手権シリーズ』。車両の排気量や改造範囲によって、JSB1000、ST1000、ST600、J-GP3の4クラスが行われています。

いずれのクラスも、世界選手権に繋がる競技性高いクラスです。

そうした全日本の中に、ライダーの技量を上げる入門的位置付けで開催されているのが『MFJカップ』と呼ばれるシリーズで、このクラスにSDG Motor Sports RT HARC-PRO.のベテラン赤間 清さんが参戦中です。

赤間さんは現在55歳。レースデビューは1986年というので、もう36年間、ロードレースに参戦してきています。

昭和電機株式会社CEO柏木健作さんは、ギネス記録を作るレーシングライダーとして活躍し続けてほしいと言っていますが、それも今の雰囲気だと、十分実現出来そうです。

赤間さんの参戦するJP250クラスは2016年に、前述したようにライダーのスキルアップを図るクラスとして作られました。街乗り4サイクル250ccバイクを小改造し、戦われます。

スタートした2016年の開幕戦筑波には、55台のJP250マシンが集まり、シーズンが始まりました。ですが残念ながら年を追う毎に参戦台数が減り、今年の開幕戦は27台のエントリーとなっています。

*                *

赤間さん、最初は盛り上がったJP250クラスですが、徐々に参戦台数が減ってきてしまっていますね。

「そうですね。思ったよりも費用が掛かるとかマシン差が大きいとか、いろんな理由があるとは思うのですが、今年は新しいマシンも参入しやすくなったりして、また増える方向に行くと良いですね」

マシン自体の改造範囲は狭いですよね。

「改造範囲自体は狭くされているのですが、インジェクションのコントロールや点火タイミングなどを変える、いわゆるECUと言われるコンピュータですね。JP250クラスではそれを社外品に変更することができるのですが、本格的なものだと相当な値段になります。またエンジンも基本的にチューニングは出来ないのですが、レース毎のメンテナンスによって常に良い状態のエンジンを用意しようとすると、費用負担として発生します。だからどうしても「勝てるバイクを」と考えると、お金がかかってしまいますね」

そうしないと、トップ争いには加われませんか?

「そうは言っても、車両のベースは街乗りの250ccバイクですからね。細かい事の積み重ねが差にはなりますが、それがどうしようもないくらい大きな差なのかと言えば、そうでもありません。私のバイクは、エンジンのオーバーホールを年に1回、ヘッド回りのメンテを1、2回程度、様子を見ながら行っています。できるだけお金をかけず、セットアップやライディング技術で戦おう、というコンセプトです。そんな私のバイクに、例えば去年の12月の鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿サンデーロードレースに上原大輝が乗って参戦しました。私のバイクでポールポジションを獲得し、決勝は世界選手権レベルのレースを戦っている大久保 光選手に0.1秒差で負けて2位になりましたが、それでもトップ争いはライダー次第で出来るわけです。ただ、その走りをするにはリスクが出てきます。手間とお金をかけた車両は細部まで手が入っているから、高いレベルで安定して走ることができる。まぁレースとはそういうものだと言えばそうなのですが、クラスの趣旨というものもありますし、参戦する側の考えというものもあります。難しいところではありますね」

開幕戦、赤間さんは8位、クラス5位でした。なかなかの滑り出しですね。

「さっきも言ったように私の参戦コンセプトは、お金を掛けるような方向ではなく、マシンのセットアップとライダーの技量を上げていくことです。今年はギアのセットアップを変えて乗り方を変えてみたのですが、それがうまくいったようです。レースは、そうしたほんの少しの差がタイムに明確に違いとなって出てくるので、そこが本当に面白いですね」

ベテランになると、同じやり方を続けがちですが、赤間さんはさらに進化しようとトライしているわけですね。

「ダラダラと続けるのは意味がないじゃないですか。どうせチャレンジするなら、新しいことにトライしてみたい。新しいセットアップと走り方が開幕戦で良い結果に繋がったので、次はさらにこれを進めていきたいと思います」

くれぐれもケガだけはしないよう、気を付けて頑張ってくださいね。

「仕事を持っている我々は、レースが終わった翌日にきちんと仕事場に出る、ということが大事ですからね。そのためにもケガをするような走りは出来ませんが、でもだからといって100%を目指さないのは意味がない。その狭間が辛いですが(苦笑)、でもまだまだ頑張りますよ!」

応援しています!!!